2005年10月3日

今日は、ドイツ統一から15年目の記念日であります。ポツダムでは式典が行われましたが、15年経ってもコール元首相がかつて言った「花咲く野原」は現れず、旧東ドイツは経済的にいまだに自立しておらず、西からの多額の資金に依存している現実は、ドイツ経済全体に重くのしかかっています。今から30年後には、旧東ドイツは経済的に自立しているのでしょうか。

シュレーダー首相がようやく「大連立政権で首相の座に固執せず、党執行部の意向に従う」と発言し、大連立政権への道を開きました。今週はメルケル首相の誕生となるかもしれません。しかし、独自で過半数を取れなかった首相の前途は茨の道であります。彼女の指導力の弱さは、覆うべくもありません。

いまドイツの過去との対決について長いレポートを書いていますが、書いているうちにふくらんできて、なかなか終わりません。1989年から取材しているテーマだけに、自分でもずいぶん資料がたまっているなあと感心します。今日では、人間が1人亡くなっても大変なことなのに、600万人のユダヤ人が殺害されたというのは、正に気が遠くなるような犯罪です。たとえば、ソ連のバービイ・ヤールという峡谷で親衛隊が行ったユダヤ人虐殺では、2日間で3万人以上が射殺されています。もっとも、これは他人事ではなくわれわれ日本人も、同じような重荷を負っているのですが。